目標(あるべき姿)の高さを他者にも求める
リーダーの皆さんは、理想を有し、さまざまな事柄に対して目標(あるべき姿)レベルが高い方が多いと言えます。
それが仕事の品質の高さとなり、成果を継続的に上げることにつながっていると感じます。
しかし、この目標(あるべき姿)レベルの高さが、自身の振る舞いに向いている時には問題が生じることは少ないのですが、他者に向く場合は気を付ける必要があります。
他者に対して目標(あるべき姿)を高めすぎると、表現を変えれば「期待」をしすぎると、ギャップが生じやすくなります。
結果、怒りの感情が湧き出し、心の中で相手を責めることにつながります。
これが部下の場合であれば、心の中だけで収まらず、外に出て言動で怒りを示すことが多くなります。
もちろん怒りを示すことで、部下の心の姿勢が変わり、言動に変化を促すことも多くあるので、怒り方を工夫すれば良い結果を生むことが多くあります。
怒りが過ぎると心を蝕む
しかし、常に怒りが生じている状態は精神的にストレスを生じさせます。心身一如と言いますが、身体にも影響を及ぼします。
そして、ストレスが生じることで、われわれの判断や意思決定にも悪影響を及ぼします。
コンサルタントという仕事柄、多くの社長をはじめとしたリーダー層の方々を身近に観てきましたが、日頃は素晴らしい判断をするリーダーも、斜め上からの発想で見事な意思決定をするリーダーも、時に信じられない決定をするケースがあります。
もちろん、さまざまな要素が複合しての結果とは言えますが、基本的にストレスフルな状態にあることがおかしな判断・決定を引き起こしています。
また、他人への怒りの発し方を失敗すると関係性に大きな亀裂を生むことにもなります。
機嫌をデザインする
2020年に、世界で一番受賞が難しいとされるドイツ デザイン アワードの最優秀賞を受賞された
秋田道夫さん。
わずか二日間でツイッターのフォローを七万人が行ったというSNSの世界でも有名な方です。
秋田さんは著書「機嫌のデザイン」(ダイヤモンド社)の中で、人生において自分の機嫌を常に良い状態に保つこと。
著書タイトルの”機嫌を自分自身でデザインする”ことが重要であると述べておられます。
では機嫌を良い状態に保つには何を行えば良いのか?
それは、
「期待をしない」
ことであると書かれています。
期待をすることで、怒りや失望の感情が生まれて精神的な状態をおかしくさせ、ひいては自分自身のパフォーマンスに悪影響を及ぼしていくことを述べられています。
もちろん、これは数字で言えば期待値をゼロにするというわけではなく、期待値を良い意味で下げて人に接することが大切であるということです。
例えば、駅で電車に乗る際、並んで待っている時に横入りをされたり、満員なのに座席の横にカバンを置いて座っている人がいれば、怒りの感情が湧いてくる人が多いと思います。
この際に、期待値を下げて、自分に危害を加えらえれることを全く考える必要なく、安全に電車を乗れることで十分にありがたい、と考えれば怒りの感情・ストレスが生じることはありません。
結婚されている男性が、料理の品数が少ない。同じ料理が良く出てくる。洗濯物の畳み方がよくない。などで奥さんに怒りを感じるならば、ご飯を毎日作ってくれる。洗濯もしてくれる。しかもアイロンまでかけてもらえる。
と考えれば、怒りが生じず、余計な軋轢を生むこともなくなります。
リーダーは、パフォーマンス・レベルを高まるために肉体的・精神的な状態管理が求められます。
その大きな要素が怒りのコントールだと思います。
良い意味で、期待値を下げて考えることを一つの方法としてお薦めします。
コメント