人間の自然な反応
われわれは、自分にとって望ましくない事態が生じると、その原因を他人や環境などの自分以外の要素に持っていきがちです。
自分の人事評価・給料がなかなか上がらないのは「上司がえこひいきをして、まともな評価をしてくれないからだ。」「会社が人件費を抑えようとしているからだ。」「親会社から出向してくる偉いさんに高い給料を出すために抑えられているんだ。」
仕事で成果が出なければ「部下の力量が低く、思うような動きをしないから結果が出ない。」「他部署が非協力的で改善が進まないからダメなんだ。」「製造現場が納期に間に合わせられないからチャンスロスが起きている。」
往々にして、このような思考に陥りがちです。
この思考に陥ることは、人間は自己防衛本能がありますから自然な心理です。
誰しもが、望ましくない事態が生じれば、このようなことを大なり小なり考えるものでしょう。
神頼みでは物事は好転しない
しかし、いつまでも「世の中が悪い」「相手が悪い」と考えていても一向に良い方向には向きません。
「上司が悪いから変わらなければならない。」と考え、願っていても上司は変わらないでしょう。
これでは神様にお祈りしているのと何ら変わりません。
さらに言えば、このように考えていると自分自身にストレスがどんどん溜まっていき、ネガティブな心理状態に陥ります。
すると、また他責の方向に物事を考えていくことにつながり、あれもこれもマイナス方向に捉えていくことになったりします。
やはり、ある程度ネガティブな他責思考で考えた後は、この自分に生じている望ましくない事態について、
・この局面を打開するために、今できる・変えられることは何だろうか?
・今、どんな思考や行動をすることが、プラスの方向に物事を進ませるだろうか?
・相手とどんな関係を築きたいと自分は考えているのだろうか?
といった、プラスの解釈を生み出す自分への質問を投げかけ、前向きな方向で一歩を踏み出せる状態にすることが求められます。
継続的に成果を上げ続けているリーダーの共通項
長年、コンサルタントとしてさまざまなリーダー層の方々を観ていて、継続的にリーダーとして成果を上げ続けている人に共通する、ものの見方・考え方、技術、言動というものはあると思います。
その中の一つが、困難な、望ましくない事態に陥った際、さきほどのプラスの解釈を生み出す自問自答を行い、今、自分にできることに焦点を当てて動くことがあると思います。
集団は無意識レベルで影響力のある人に良いも悪いも倣っていきます。
リーダーがプラス解釈をして前向きな行動を行えば、部下・フォロワー達も自然とプラスの解釈を行い、組織的にできる・変えられることを続けていきます。
結果、局面を打開して成果を上げていきます。
VUCAワールドの時代には思うように進まないことが増えていくでしょう。
この出来事をプラスの方向にコントロールする力がより問われてきます。
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