外向き志向

組織運営

ダーウィンの法則

日本でいえば江戸時代の後期から明治初期に活躍した、イギリスの自然科学者チャールズ・ダーウィンが遺したとされる言葉。
「強いものが生き残るわけではない。また、賢いものが生き残るわけでもない。変化できるものが生き残る。」

これは企業においても、まったく同じことが言えますね。
顧客・市場の要望は刻々と変わります。競合他社の動きも変化していきます。技術も最近話題のチャットGPTなどのAI、メタバース、空飛ぶ車・・・。さまざま猛烈なスピードで進化しています。

こうした企業を取り巻く状況、表現を変えれば、経営環境に適応していかなければ存続・成長は果たせません。
かの経営学者のドラッガーの表現を借りると、自動車製造業、IT企業、スーパー・コンビニエンスストアといった小売業など、さまざま業種・業態はあるものの、一言でいえば全ての企業は環境適応業です。

それぞれの企業において、外部環境の変化をアンテナを立てて収集し、数年後の自社を取り巻く経営環境を予測する。
その中で、業績成果を上げていくために、伸びるチャンスとリスク回避策を講じて着実に推進していくことが求められます。

良い組織と悪い組織の違い

リーダーの重要な役割の一つが、環境適応していくために先手を講じることです。

リーダーが先に述べたように、定期・継続的に環境変化情報を収集・察知する。そのなかで為すべきことを具体化して、周囲を巻き込みスピーディーに動いていく。
さまざまな施策を評価・検証し、中止すべきものは明確に中止する。より注力すべきことは体制強化して進めていく。
こうした動きが継続的な成果を生みます。

この際、成果を上げていくにあたってのポイントは、いかにフォロワーである社員・部下がモチベーション高く動いてくれるかどうか?です。

当然、ほぼ全てのフォロワーは業務・課題を有している中で、新たな施策に時間・エネルギーを費やしてもらうことになります。
ときには、それまでと抜本的に仕事の進め方を変えてもらうことも生じます。
なかには、リスキリングを行い職種転換をしてもらう人も出てきます。

人は、脳の構造からいっても保守的なものです。慣れたことを続けていきたい生き物です。
また、ただでさえ多忙な中、新しいことを行うことは負荷が生じて避けたいものでしょう。

さまざまな組織を観てきて、このリーダーの先手を講じる指示に対して、フォロワーが負荷や心理的抵抗はあるものの受容するか?それとも反発するか?の違いの原因は、社員の目線が内向きか?外向きか?の違いが大きいように感じます。

外向きになる仕組みづくり

外部情報に触れることが少ない組織・人材は、リーダーの先手を講じる指示、表現を変えると先行管理活動に対して反発する傾向が高いといえます。

さらにいえば、自分たちの論理で、自分たちに都合よく仕事を行っていきます。収益の源泉、自分たちの給料の源泉である顧客満足も、どこかに置き去りにされていきます。

逆に、顧客の要望、競合情報、技術変化などに関する、外の情報に触れる機会の多い組織・人材は、先行管理活動の受容度は総じて高くなります。

当然、この受容姿勢は放っておいてつくられるものではありません。意図的に外の情報をインプットさせ、自分の仕事にどのように影響を及ぼすのか?どのように進化・改善していく必要があるのか?を内省させる状況をつくる必要があります。

フォロワーの受容度が高く、先行管理活動が組織的に行われる企業は、さまざまな取り組みをしていますが、やはりリーダーが定期的に未来の環境変化を語り、質疑応答を受けながら、社員・部下の理解促進をはかり、一人ひとりの社員に環境適応のために”今できる・変えられること”をしっかりと考えさせています。

さらにいえば、この点を徹底している組織は、たとえば外部情報に触れがたい生産・物流などの職務従事者に、ジョブ・トライアルと称して、営業などの外部接点ある部署に2週間程度出向させます。
営業同行して顧客の生の声を聴く。折衝の厳しさを体感する。営業担当者から競合情報を教えてもらう。
百聞は一見に如かずです。多くの社員に時間をかけて定期・継続的に短期出向をさせていくと、顧客目線の要望だけでなく、リーダーの先行管理活動の受容度も間違いなく上がります。

時間・労力はかかることですが、やはり急がば回れです。こうした外向きになる取り組みを行うことが求められます。

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