リーダーの「断」の違いがもたらすもの

リーダーシップ

「断」の違いが成果を分ける

さまざまなリーダー層の方々を観て、ご一緒をしてきましたが、「断」の違いが成果に直接的に影響を及ぼしているように感じます。

まず、残念ながら、リーダーとして求められる成果を上げられない方に多い傾向として「優柔不断」が挙げられます。
日本人の民族的特性とも言えるかもしれませんが、さまざまな人や部署に配慮をしすぎて決められない。決めるのに時間がかかる。問題の先送りをする。

結果、チャンスロス(機会損失)を起こしてしまう。場合によっては、組織に大きな損害を生じさせてしまう。
さまざまな会社・組織を観てきて、この”決めない””先送りする”人がリーダーに長くいる場合、ほぼ間違いなく、組織の活力が落ちていき、じり貧状態に陥ります。

他には「油断」「独断」のリーダーも当然、組織をおかしなものにしてしまいます。

「決断」と「実行」の間

逆に優れたリーダーは、「決断」という断ができる方です。

そして、この決断において二つのことができる方々が継続的に成果を上げておられます。

日露戦争の日本海海戦において、日本海軍の連合艦隊は大国ロシアのバルチック艦隊と戦い、いまだにどの国の海軍も成しえていない、おおげさではなく完全無欠といっていい勝利を収めて戦争終結を勝ち取りました。

その立役者の一人が、「T字戦法」を始めとした独創的な作戦を立案し、運用した海軍参謀の秋山真之です。
司馬遼太郎さんの大作「坂の上の雲」。幼少期からの友人である俳人、正岡子規。兄で「日本騎兵の父」といわれ、同じく日露戦争で活躍した秋山好古と共に主人公の一人でもあります。

この秋山真之が、優れたリーダーの要素を次のように語っています。

優れたリーダーは、決断と実行の間の時間が短い。決めたならば逡巡することなく即座に実行に移す。それが成功を得るリーダーの要素である。
まさしく、私がご一緒してきた中で優れた方が持っておられる特性です。

一心不乱にやり切る

禅の教えに以下のようなものがあります。

「過去もない。未来もない。あるのは永遠に続く現在(いま)だけだ。現在(いま)を生きよ。現在(いま)を生き切れ。」
一言でいえば、「前後裁断」というものです。

我々はどうしても、過去を引きずり後悔に苛まれたり、未来のことを案じるあまり不安に駆られ、悩みを生じさせ、目の前のことに集中できなくなったりします。

ビジネスの世界にあっては、意思決定したものの、本当にこれで良かったのか?違う選択肢の方がやはり良かったのではないか?
新たに得た情報では、未来が想定したものとは違う形になる可能性ある。決定したことを続けて良いのか?
といった決断したことに迷いが生じて、推進力を落としてしまうことがあります。

ただ、やはり優秀なリーダーは決断すれば、もちろん撤退基準は決めておられるものの、やるべきことに焦点を当てて一心不乱に突き進んでいきます。
その姿勢を見て、フォロワーも今できることに最善を尽くしていきます。
そして結果を出されます。

決断の後の「実行スピード」「前後裁断」を意識していきたいものです。

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